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2022.03.16

ナイスな本 01|日本の紋章

とある地方都市のシンボルマークを制作(コンペ)している。日本のシンボルマーク(家紋)の歴史はかなり古く、平安時代後半には貴族のあいだで使われ始め、鎌倉以降は武士もそれぞれの家紋を持ち始める。武士の場合は戦場で敵味方を識別する役割も求められるため、遠目でもわかりやすいようシンプルなデザインが多かった。その後江戸時代になり、家紋の種類は爆発的に増える。

大学時代に佐藤晃一先生から「グラフィックデザイナーになるのなら、家紋帳というものが神保町あたりにいけば売ってるから、1冊持っておきなさい」と言われたことを思い出して買ったのが、上の画像の『日本の紋章』である。

序文は亀倉雄策。
さまざまな紋章がモチーフごとに並べられている。徳川家の葵紋のように自然物をモチーフにしたものが割と多いが、うまいこと抽象化したり、幾何学的で洗練されたものも多い。先生が仰っていたいわゆる「家紋帳」とは違うが、体系的にまとめられていて、資料としては見やすい。

本のデザインが誰なのかは不明だが、とにかく表紙のピンクベタにただならぬ美意識を感じる。